さまざまな不法行為
酒屋を営むAは、飼育している大型犬の運動を店員Bに命じた。Bが運動のために犬を連れて路上を歩いていたところ、自転車で走行していたCが運転を誤って自転車を犬に追突させ、驚いた犬はBを振り切って暴走した。反対方向から歩いてきた右足に障害のあるDは、犬と接触しなかったものの、暴走する犬を避けようとして足の障害のために身体の安定を失って転倒し、重傷を負った。
DがA、B及びCに対して損害賠償を請求できるかについて、それぞれに対する請求の根拠と、A、B及びCの考えられる反論を挙げ、自己の見解を論ぜよ。
(旧司法試験平成15年第1問)
DはCに対して、どのような法的根拠に基づいて損害賠償請求をすることが考えられるか説明しなさい。
Cはどのような反論をすることが考えられ、その反論が認められるか説明しなさい。
DはBに対して、どのような法的根拠に基づいて損害賠償請求をすることが考えられるか説明しなさい。
Bは自己が「占有者」または「管理する者」に該当しないと反論できるか説明しなさい。
Bは709条の「過失」がないと反論できるか説明しなさい。
DはAに対して、どのような法的根拠に基づいて損害賠償請求をすることが考えられるか説明しなさい。
Aは「事業の執行について」損害を加えたとはいえないと反論できるか説明しなさい。
Aは犬の占有者に当たらないと反論できるか説明しなさい。
DはA、B、Cの行為をどのように評価し、共同不法行為として損害賠償請求をすることができますか?
被害者Dが、加害者らに対して共同不法行為の主張をしない場合、どのような不都合が生じるか。賠償がどのようになされるかに注目して答えなさい。また、その不都合が、共同不法行為の主張によってどのように解決されるのかについても併せて説明しなさい。
AらはDの右 足の障害を理由に、どのような反論をすることが考えられるか、結論まで含めて説明しなさい。
不法行為において、被害者が障害や疾患を有していた場合に、そのことを理由に損害賠償額を減額するために民法722条2項を適用することが問題となるのは、同条の直接適用ができないからである。この点について、なぜ直接適用できないのかを説明した上で、なぜ類推適用が認められるのか、その理由を説明しなさい。