抵当権の効力2
Aは、その所有する甲土地にBのために抵当権を設定して、その旨の登記をした後、Cに対し、甲土地を建物所有目的で期間を30年と定めて賃貸した。Cは、甲土地上に乙建物を建築し、乙建物にDのために抵当権を設定して、その旨の登記をした。その後、Cは、甲土地上の庭先に自家用車のカーポート(屋根とその支柱だけからなり、コンクリートで土地に固定された駐車設備)を設置した。
右の事案について、次の問いに答えよ(なお、各問は、独立した問いである)。
一 Bの抵当権が実行され、Eが競落した場合、乙建物及びカーポートをめぐるEC間の法律関係について論ぜよ。
二 Dの抵当権が実行され、Fが競落した場合、乙建物及びカーポートをめぐるFA間の法律関係について論ぜよ。
(平成9年 度旧司法試験民法第1問)
賃貸借契約終了後に建物の収去および土地の明渡しを請求するためには、どのような要件を満たす必要があるか。民法の条文をもとに説明しなさい。
借地借家法10条1項において、建物の所有者が土地の賃借権を第三者に対抗するためには、どのような条件が必要か。
カーポートが土地に付合しているか否かを論じる必要があるのはなぜか。この点について、カーポートが付合していた場合、Cはどのような反論ができるのかを考えて、説明しなさい。
物が土地に「付合」していると評価されるためには、どのような基準によって判断されるか。カーポートの事例を前提に、物理的・経済的観点から答えなさい。
建物の従物に対しても抵当権の効力が及ぶとされるのはなぜか。また、それにより競落人が取得する権利関係にどのような影響がありますか。
「目的物と価値的に一体である」とはどういう意味か。この点について、借地上に建物が建設さ れている場合を例に、価値的一体性の意味とその法的意義を説明しなさい。