代理権 の記事一覧
表見代理
更新日: 2024/11/14
問題文
18歳のAは,唯一の親権者で画家である父Bに対し,真実はバイクを買うためのお金が欲しかったのに,知人からの借金を返済するためにお金が必要であるとうそをついて,金策の相談をした。この事案について,以下の問いに答えよ。なお,各問いは,独立した問いである。
1 Bは,Aに対し,Aの借金を返済する金銭を得るために,Bが描いた甲絵画を,これまで何度か絵画を買ってもらったことのある旧知の画商Cに売却することを認め,売却についての委任状を作成し,Aに交付した。しかし,その翌日,Bは,気が変わり,Aに対して,「甲絵画を売るのはやめた。委任状は破棄しておくように。」と言った。ところが,その後,Aは,Bに無断で,委任状を提示して,甲絵画をCに50万円で売却した。この場合,Bは,Cから,甲絵画を取り戻すことができるか。
2 Bは,かねてからAがその所有する乙自動車を売却したいと言っていたのを幸いとして,その売却代金を自己の株式購入の資金とするため,Aの代理人として,Dに対し,乙自動車を60万円で売却した。この場合,Aは,Dから乙自動車を取り戻すことができるか。
また,Bが,以前A名義の不動産を勝手に売却したことがあったことなどから,Aの伯母の申立てにより,家庭裁判所において,乙自動車の売却の1か月前に,親権の喪失の宣告がされ,確定していたのに上記のような売却をしたときはどうか。(H21第1問)
代理権濫用
更新日: 2024/10/21
問題文
Aは、妻とともに、子B(当時18歳)の法定代理人として、Cに対し、Bが祖父からの贈与により取得した甲土地を、時価の500万円で売却して引渡、所有権移転の登記をした。Aは、妻の了解の下に、その売却代金を、AのDに対する500万円の債務の弁済に充てた。Aは、Dに弁済する際、甲土地の売却代金により弁済することを秘していたが、Dは、そのことを知っていた。AがDに弁済した時、A夫婦は無資力であった。その後、Bは、成人した。
1 A夫婦が売却代金をAのDに対する債務の弁済に充てるために甲土地を売却したものであり、Cは、甲土地を買い受ける際、そのことを知っていた場合において、次の各問について論ぜよ。
(1) Bは、Cに対し、甲土地の返還を請求することができるか。
( 2) CがBに対して甲土地を返還したとき、CはBに対し、500万円の支払を請求することができるか。
2 A夫婦が売却代金をBの教育資金に用いるつもりで甲土地を売却したが、売却後に考えが変わり、売却代金をAのDに対する債務の弁済に充てた場合において、Bは、Dに対し、500万円の支払を請求することができるかについて論ぜよ。(h14第1問)
虚偽表示の効力とその帰結
更新日: 2024/10/14
問題文
Aは、債権者からの差押えを免れるため、Bと通謀の上、売買を仮装して、その所有する建物及びその敷地(以下、これらを総称するときは「本件不動産」という。)の登記名義をBに移転するとともに、本件不動産を引き渡した。その後、Aは、右の事情を知っているCとの間で、本件不動産につき売買契約を締結し、代金の支払を受けたが、その直 前に、Bが、Dに本件不動産を売却し、引き渡していた。Dは、AB間の右事情を知らず、かつ、知らないことにつき過失がなかった。ところが、右建物は、Cの買受け後に、第三者の放火により焼失してしまった。なお、その敷地についての登記名義は、いまだBにある。 以上の事案において、本件不動産をめぐるCD間の法律関係について論じた上、CがA及びBに対してどのような請求をすることができるか説明せよ。